おなかが空きました

お風呂が沸きました

毎週research groupがある暮らし

はじめに

今回は、4月終わりから始めている同期との毎週のresearch (writing) groupが自分の生活にどのように影響しているのかをまとめてみようという記事です。

私は4月から週に1回学部の時のサークル同期(彼女も院進した、ブログも書いています:Noko120’s diary)とresearch groupを行っています。専門が異なる人と毎週研究報告をしあったり悩みを相談しあったりする機会は非常にありがたいもので、自分の大学院での生活に研究的な意味でも人との会話という意味でも良い影響がみられているなと思っています。

今回は以前に増して主として自分で振り返る機会を作ろうという趣旨で書いていますが、どこか参考になるところもあると思うのでブログの形で残すことにしました。気になった人は最後まで読んでいただいて、何かアドバイス等いただけると嬉しいです。

開催形態

この節では実際行っているresearch groupについて、どのようなことに気をつけて開催しているのか、形式的な開催形態を簡単にまとめます。

週に1回必ずオンラインで報告会をする

まず、第一に気をつけているのは、予定が合えば必ず週に1回オンラインで会を設けるということです。結構1週間というスパンは短いのですが、大学院の授業を受けていれば、必ずいくつかの授業でインプットする機会があり、加えて自分の研究時間も数時間は取れているはずなので、話すことはあります。

Zoomで繋いで、夜の1~2時間くらい、気が済むまでゆっくり自分たちの最近の研究や、研究にまつわる考えていることを喋り続けているように思います(夜寝るのが遅くなって翌日眠かったこともあるのはご愛嬌)。

何かしら報告できるものを共有する

次に、毎回の報告の機会では、そのために作ったものでなくてもいいので、必ず何か報告できるものを共有するようにしています。

Zoomで行っているので、簡単に画面共有をすることができるため、何か研究報告等のための準備が進んでいるときはその資料を共有したり、ネタ出しの段階であれば、簡単なメモを10分程度でまとめて共有するようにしています。

必ず共有するものがあるので、それを使って実質的にラフな研究報告を毎週することになっているようなものです。

専門が異なる人と報告し合う

私は政治学、特にComparative Politicsという形で国内政治をを専門にしているのですが、一緒に参加してくれている同期は、美術史・安全保障と専門が異なっています。

これは自分の専攻に同期がほとんどいない(私含めて政治コースは6人)というのもありますが、どうせ専門が近い人とは研究室等でも会話できる可能性が高いので(とはいえそんなに会うことはありませんが)、せっかくなら専門が違う人と研究を共有する機会を持った方が良いのではないかという私の考えもあります。

なぜ始めたのか、どんな効果があるのか

以上のように毎週報告し合うresearch groupを開催しているわけですが、正直夜眠くなりがちということ以外、全くデメリットを感じず、むしろメリットしかないなと思っているので、以下なぜやろうと思ったのか、どのような効果があったのかをまとめていこうと思います。

なぜ?:論文生産術で読んだから

このようなresearch groupをやろうと思ったきっかけは、以下の本の内容が頭にこびりついていたからです。

この本は基本的に論文を書くのであれば習慣化してつべこべ言わずに作業する時間を取ること、そのためにはwriting groupが効果的であることを謳っています。

私はもともと高校時代から、勉強にまつわる習慣化をすること、例えば手帳で勉強したことを記録し続ける、勉強を始める時間を固定してルーティン化する等が大好きで、結局努力をしていると思わずに効果が出る習慣化は神であるという信仰を持っているので、この本の内容はかなり頭にハマるものがありました。

メモの取り方を勉強・研究用にアレンジしたNotion-Paperpile活用法も習慣化は神、そのためにシステムを形成すべし、ということで形成しました。ちなみに今も続けています(参考は以下記事)。

onakasuita-bot.hatenablog.com

というわけで、writing groupは大変だけれども、自分が研究している内容を他の人に喋り・そのために何か共有素材を作るという形でoutputを継続的にしていくことが良いのではないかと思い、同じく院進したサークル同期に声をかけて始めることにしました。

以下では自分で思うresearch groupの効果をまとめていきます

効果①:自分のinputをまとめる(outputの元を作る)時間が取れる

output「しなければならない」機会が必ず7日ごとにやってくるという環境は、自分が溜め込んだ知識を一旦形にする機会を自動的に与えてくれます。7日だと結構早いなと思いますが、上に示したように特にゼミに何個か参加している学期の間は、毎日新しい考え事、新しく読んだりdiscussionした論文があるはずです。

読んだもの・ゼミで人と話して考えたことをまとめる際には、このresearch groupでは毎週「人に説明する」という形が尺挟まるので、読んだものをただ羅列するのでなく人に説明するための自分で考えた枠組みに沿ってまとめることになります。説明の枠を自分で作るわけですから、結局のところ自分の研究の進捗を産んでいることになる、という感じです。

この作業毎週続けていたら、気づいたら一本研究レジュメが出来上がっていた、なんてこともありました。

効果②:人にアイデアを共有する機会が持てる

研究のネタになるようなアイデアが浮かんだとしても、それを人に話さないと自分でそれがどれほど魅力的だと思っているかもわからないし、どれほど可能性があるのかもわからないものです。

毎週会があることによって、最近気になっていることをぽろっと共有するハードルがかなり下がっています。頻繁には会わない人と会話する時に自分の関心を言語化したくなくて萎縮する癖があります。なぜかというと、「最近〇〇について考えています」というと、「こいつ(私)は〇〇の人なんだな」という認識を持たれるのではないかと思ってしまいうつろう未来の関心に対する責任を持ちたくないと考えてしまうからです。これ自体は早急に直さなければならないのですが、少なくとも、話す機会が多いということはそれだけ考えている経過を曝け出すことのハードルを下げてくれるのでとりあえず思いついたことをぽろっと話せて非常に個人的にはありがたいです。

効果③:専門が異なる人と会話するということ

専門が異なる人と会話する(専門が異なる人に報告する)ということは、自分の領域についてあまり知識がない人に説明する練習になります。例えば(私は今回落ちてしまいましたが)、諸々の金銭的支援の応募の際には自分とはある程度専門性的に距離のある人に研究の内容・意義について説明する必要があります。この際、事前に専門が異なる人に忌憚ない意見をもらえたり、その人向けに報告する機会を多く持つことは、直接的にも間接的にも良いです。

間接的にも、といったのには理由があり、専門が違う人に説明しているうちに、自分が研究をしている際に根源的に関心があるのはどんなことなのかというようなことがぼんやりと言語化できるようになる、といったことがあったからです。

また、自分が自明だと思っていたことについて素朴な疑問が飛んできたりすると、考え直す機会を与えてくれます。ディシプリンによって何かを説明する際に重視する要因は異なるため、それに自覚的になる機会を与えてくれるわけです。

効果④:相手の研究進捗による刺激&良いプレッシャーがある

research groupは毎週2~3人(予定に応じて1人いなかったりする)でやっているので、毎週お互いに報告します。そうすると自分だけではなく相手も毎週研究を進めてくることになるので、それを聞くだけでも(専門が違いすぎてさっぱりわからないこともしばしばですが)刺激をもらえます。

相手が論文の全訳をしていたりスライドを丁寧にまとめていたら、自分もinputの精度を上げる必要があるなと思うし、相手が研究報告をするという報告をしていたら自分も頑張らないといけないなと思えるわけです。

もしこの会をやっていなかったら、自分は結構頑張ってるわあ〜〜と堕落した日々を送っていた可能性は否めないので、刺激を相互に与え合う環境はありがたいです。

効果⑤:ついでに文章も読んでもらえる

いつも報告の際は文章を読んでもらうというよりも、完成版にしろ、作業途中にしろレジュメやスライドを共有して今週の進捗を報告するということをしているのですが、research groupの延長線でLineで文章を投げつけて感想をもらうということをしています。

自分のペイパー・申請書等を見てもらったり、相手の申請書?的なものを読んだりとすることで、自分の文章やまとめ方が専門外の人から見てわかりやすいのか等感想をもらえる機会は貴重です。

副産物:雑談もできる

これは実はかなり大きい効果で、研究科の外の人と毎週意識せずとも雑談ができるというのはかなり私の精神的に健全な生活を支えています。

もともと、会話がしたいという意識で主催したわけではないのですが、報告のついでに近況を共有できてのんびり会話が続く環境を毎週とれることになりますね。

今後心がけていきたいこと 

というわけで色々と効果があるなと思えるresearch groupな訳ですが、今も継続しているので、ついでに今後気を付けていきたいこと、心がけていきたいことをまとめようと思います。

マンネリ化させない

長く続けているとおそらく必ず問題になると思いますが、マンネリ化させないように頑張っていこうと思います。ありがたいなあと思いつつズボラすぎて毎週開始時刻を忘れていたり、なんならその理由が今日であったことをメモしていないから頭から抜けてる、みたいなことをしているので、もう少し真面目に予定表に記録しておこうと思いました。

また、研究に関連した事項をoutputする機会のために時間を作っているのに、outputしないでただ喋る時間になったら元も子もないので、しっかり研究のoutputの時間にするということを継続していこうと思います(このブログは個人的にはそれを再確認するためのものでもあります)。

Outputはペイパーにまでまとめる

夏休みはプライベートな予定とかがあったので頻繁には集れていませんでしたが、会を始めてから期間的にはもう半年以上立ったので、そろそろoutputをペイパーの形にまで仕上げていくという癖をつけたいなと思っています。

10月に初めて研究報告を学外でするという機会をいただけたので、スライドを作る(そのために自分のためにまとめたペイパーを書く)ということをしたのですが、結局のところ、最終的には人様に読んでもらえるクオリティのものを作らないといけないわけです。ですから毎週コツコツ喋ってレジュメ等の形でoutputするだけでなく、もう少し腰を据えてペイパーを仕上げるということを修論に向けて続けていきたいなと思っています。

というわけで決意表明です:ペイパー書いたうちの一部を毎週共有するという形だったり、レジュメを共有した翌週までには一部は文字化するというような、文章を書くという癖をつけます。

おわりに - 色々なところでoutputの機会を作る

今回はoutputのためのresearch groupを毎週しているという話をまとめてみました。院生になると、人と会話する機会が意識しないと減るか研究が似ている人との間に固定化されます。そんな中research groupという形で異種の研究をしている人と研究報告・会話をする機会はとても貴重で、同期には本当に感謝しています、いつもありがとう(毎週時間を忘れまくってごめん)

また、同じ研究科の先輩方との研究の進捗報告会に月2回参加したり、同じコースの学期に1回程度進捗報告したり、授業を受けていた先生に誘われて月1の自主ゼミ(というなの研究報告会)に参加したりと、色々なところで人の研究を聞いたり自分でoutputする機会を持ったりできているのは環境に恵まれておりありがたいなあとしみじみ感じています。これからもよろしくお願いします。

東大の文系の研究科横断した同期のSlackコミュニティを主催もしているのですが、最近沈黙が続いていて悲しく、たまにはそのコミュニティくらいの大きい規模で研究報告会もやってみたいので、この記事を見た同期の方は需要があれば私に開催するよう催促してください。

Arc&Paperpile& Notion with Researcherで快適な研究をー続:オンラインの研究環境構築

はじめに

以下の記事が好評を博しまして、その続編を書くことにしました。

onakasuita-bot.hatenablog.com

なんとこの記事単体だけで計算すると1000viewに行っているようです。みなさん読んでいただきありがとうございます。

今回は、以前の記事から更新させて、日々のインプット手段と、快適なブラウザ環境を手に入れたのでそれを共有させていただきたいと思います。 ついでに、以前共有したNotionについて、テンプレートを用意しておりますのでそちらも共有したいと思います。ぜひ最後までお読みいただいて改善案やコメントをいただけると嬉しいです。

ツールを追加して快適な研究環境を。

本節では、ArcとResarcherというサービスを日々の生活に追加することでものすごく快適な勉強環境を構築できたのでそれを共有します。

Chrome拡張が使えるのに鬱陶しいタブがない?!:Arcを導入しました

Arcとはなんぞやという人はこちらをご覧ください。一言で言ってしまえば、タブがないChromeブラウザです。

arc.net

タブはうるさい

前回記事で紹介させていただいたのは、Paperpile + Notion (+ Overleaf)とまあ全ての作業をブラウザで済ませてしまえというお話です。しかしながらこのタイプの作業環境構築を行うとだいたい一つの問題にぶち当たります。

タブが開かれすぎて目にうるさい!!!

です。Chrome拡張機能が充実しており、例えばPaperpileはGoogle Scholarから直接インポートできる拡張機能があってこそ、みたいなところがあります。しかしながら論文をPaperpileで読むとViewerがChrome内で開かれるため、10本論文を開くと10個タブが開かれます。これに加えてNotionを開くとさらにタブがふえ、他にも色々調べ物をするためにタブを開いては消すという作業が出てきます。

まあ目にうるさいだけなら良いですが(よくないですが)、タブが小さくなりすぎてなんのタブだかわからなくなるという根本的な問題は誰にも解決できません。

タブから解放されたブラウザ環境:Arc

その点、Arcは画面にタブが出ません!!!!すごいですね!!!下の画像をご覧ください。

サイドバーの様子

これはArcの公式サイトから持ってきたものですが、Toggle形式のサイドバー方式でタブを管理します!!!!!ということは、サイドバーを閉じるとタブが一切見えなくなる!ということです。

これだけではなく、サイドバーは上下で分かれており、上の方にはよく使うサイトを、スマホのホーム画面に配置するように固定できます。ここに例えばPaperpileとかGmailとか、Notionとかを登録しておくと、スマホのアプリを開くように、作業中のそのサイトの画面に瞬時に遷移します。そして、その他のタブに関しては下の方に縦に並んでいきます。

ポイントは2点あり、まず1点目に縦に並ぶのでタブがいくら増えてもなんのタブかがわかるということ、2点目にアプリ形式に上の方に固定されるので、常に使うタブを有象無象のタブの中から探す手間がなくなるということです。

例えばPaperpileの場合、トップページをアプリ的に固定しておくと、文献検索の際はアプリの方を開き、そこから論文を選択してViewerを開くと下の方にタブとしてViewerが追加されるという仕組みです。便利ですね!!!!

プロフィールを登録できる

これは人によって使うかどうかが分かれると思いますが、Arcには、スペースという概念があります。ChromeでいうWindow、スラックでいうワークスペースに多少似ていますが、要は固定するサイトを、プライベートとか、仕事とかに応じてスペースごとに管理し、さらにそのスペースごとにプロフィールが登録できます。

説明は面倒なんでざっとにしますが、例えばGoogleアカウント等人によっては用途ごとにアカウントサービスがあると思います。これをプロフィールに割り当てることで、アカウントの使い分けを簡単にしてくれます!便利ですね!

なんとChrome拡張が使える!!!!!

これがブラウザを変えられた最大の理由です。Chromeベースで作られているために全てのChrome拡張が使えます。Paperpile extentionも使えますし、その他諸々の拡張機能がしっかり使えてしまいます。

Chromeを使っていると、拡張機能の便利さでなかなかブラウザを変えるという決断をできないものですが、Arcはこの点全く問題ないので知って速やかに改宗することができました。

Paperpileと相性が良いResearcherアプリ

次に最近暇でやる気がある時にぼーっと眺めているResarcherというアプリを紹介します。

https://www.researcher-app.com/

こんな感じのやつです。

背景:Google Alartがうるさい

修士1年でまあコツコツ勉強しないといけない時期なわけですが、最新の研究にキャッチアップしたいなと思って多少時間を使って読む論文雑誌や著者のAlartをかけ、Gmailのタグ付けをして管理をしようとした時期がありました。

なんですが、受信トレイをスキップする機能があるものの、今は見れんわ!!!みたいな時に未読が増えていってうるさいなあと感じることが増えていきました。このストレスの理由には、新着が発生するたびにメールという、結構見るのにストレスがかかる媒体に送りつけられてくる、というのもあると思います。

加えて、メールから内容を確認するために毎回サイトまで飛んだりするのがだるい、媒体によってサイトの形式が異なる、というのが個人的にAlart機能のネックでした。

特徴:論文のFeedが作れる!!

その点、Resarcherは自分で選んだ論文誌を同じ形式で(具体的には雑誌名+著者等+題名+アブストラクト等)のFeedの形で形成し、あたかもSNSのホーム画面を流しているように論文の概要を把握できるのが大変便利です。(具体的には下の写真のような感じです)

論文が同じ形式で並んでいる様子

Abstractがざっと確認できるのが良い点なので、大真面目に読む癖がある論文誌以外まで射程を広げて登録しておいて、暇な時にのんびり眺めて遊んだりしています。あとは色々著者等登録してさらにFeedが作れるはずなのでアレンジしてみてください。

Paperpileと相性が多分良い

以前紹介したPaperpileはスマホ版がiOSとAndrooid双方にあります。スマホアプリがあるサービスというのは、たいてい他アプリからそのアプリ内に取り込む、というような機能があります。例えばNotionにはスマホでWebclipができるような機能があります(Evernoteもそうですよね)。

Paperpileについても、たぶんに漏れずこの機能が備わっています。具体的にはその論文のページ等でPaperpileの共有を選択すると、タグやフォルダを指定して論文を登録してくれる他、勝手にPDFまでダウンロードできるか確認してできる場合はしてくれます。下の画像のような感じです。

Resarcherの出すAbstractから論文を登録する画面

加えて、以前の記事を見てくださっている方はお察しかと思いますが、PDFまで登録できる場合、Google Drive経由で勝手にNotionのデータベースまで登録してくれます(下記画像のデータベース)。こうすると、Resarcherで例えば「あとで読む」タグをつけて保存→パソコンのPaperpile Viewerで読みながらNotionでメモ書きしてそれをNotionのPaperpileデータベースにRelationというフローが生成できます。本当に便利です。余分な手間がかからなすぎます。おすすめです。

以前紹介したNotionのPaperpileデータベース

小括

以上のサービスを使ってオンラインの作業環境でありながらさまざまな煩わしさに苦しめられることなく快適に作業ができています。おすすめです。

Notionを快適に使う:テンプレート共有

以前使い方を共有したNotionについて、ざっと概略だけ作ってテンプレート化しましたので共有します。

humane-whitefish-2ae.notion.site

右上の複製ボタンで複製していただいて、GASの設定をすると使えるようになるかと思います。

追加でJournal, Habbit Tracker等の機能をつけておきましたのでいらない方は消してご使用ください。

終わりに

久しぶりのブログ投稿のテンションが変な感じになってしまいましたが参考になれば幸いです。改善案等あれば教えてください。

Notion(&Paperpile)で水平管理&ネットワーク構造を持つ研究環境をオンラインに作る

はじめに

読んだ文献をまとめ、自分の関心に沿うように別のページにまとめて…としていると、気づいたらどこに何があるかわからないし、書いたもの同士が結びつかない、というような悩みは勉強をしている人ならおそらく誰でもぶつかるものだと思います。

このブログ記事では、私が暫定的に見つけた最適解を共有することで、お悩みお助け隊をしつつ、改善策を募ることを目的にしています。

注意事項

Paperpileという文献管理ソフトを使っていることにより発生している問題(APIが叩けない!)や、逆にPaperpileだからできること(Google driveに文献が格納される)に大いに依存しています。他の文献管理ソフトを使っている人はごめんなさい、と言いたいところですが、即刻Paperpileに改宗しましょう。

(追記)Paperpileについてご存知ない方へ

月300円で完全クラウド型(Google drive)で文献を管理できる文献管理サービスです。Zoteroより可愛い見た目でZoteroより自由が効きません。ただ今後も改善されると思いますのでポチッと課金すると楽しい気持ちになれておすすめです。

基本的な考え方

私が自分の環境に求めていたことは以下の通りです。

  • 書きたい時に書くことに注力できる
    • 書いたものの格納場所を気にしなくて良い
  • 書いたもの同士がネットワーク化する
  • 管理・保守が後から自由に楽にできる
  • オンラインで使える
  • Markdownで書ける。数式もかける。

根本的な考え方である「量を書く」「書いたものが結びつく」は、ツェッテルカステンについての本を読んで、なんでも習慣化やな、と思ったところから来ています。本のリンクを貼っておきます。

 

また、Notionでこれを完全再現している人もいるのでその参考リンクも貼っておきます。

youtu.be

ただ、ノートの種類を分けることを考え始めると面倒になるので、よりシンプルに、より書くことへの障壁を下げる、ということを重視しました。

他のツールで考えるとスクラップボックスがこの考え方に向いたものです。しかし、使ってみて、レジュメを管理したり、レジュメは作らなかったが読んだ、みたいなものを自分の書いているメモと結びつける、という応用が難しく、データベースが強いNotionに移行しました。

(また、最近流行りのObsidianはオフライン管理らしいのでやめました)

Notionの基本構造

上に書いた考え方を踏まえ紆余曲折を経て作ったのは以下のような構造です。

  • メモのデータベースは1つにする
  • 階層ではなくタグで管理する
  • 文献管理ソフトの情報もまたデータベースでNotionに突っ込むことで読んだものと書いたものを結びつけやすくする

ページは1つにせよ- Home画面

まず、ページを1つにします。これが大事です。Notionの良いところは階層構造を作れることですが、このせいで、書くとき、書いたものを整理することに余計なコストが生まれます。ページを1つにし、メインのデータベースに全てのメモを集約することで管理コストを極限まで下げることができます。

Home画面の構成は以下の通りです。

  • INBOX:全てのメモを格納するデータベース(main)
  • Tag:タグのデータベース
  • Paperpile:Paperpileのデータを自動で読み込むデータベース

Tagはデータベースにせよ

これは以下の動画を参考にしています。

youtu.be

Notionにはデータベースをタグで管理するための「マルチセレクト」という機能が標準搭載されています。ただし、そのタグの一覧表示や編集、保守がかなりだるいです。そこで上の動画に従って、タグを別のデータベースで作成し、リレーションの形でタグ管理を実現しています。

タグのデータベースの様子

リレーションでタグのように使っている様子

それぞれのタグが何回ずつ使われているかわかるビューも作りました

文献データベースはめんどい、Paperpileのせいだ!

文献データベースは作った方が良い

これは最初迷いました。なぜならメインのデータベースは1つにすると豪語しているにも関わらず、メイン2のようなデータベースが作成されるからです。しかし、私の場合、管理を楽にするだけでなく、書いたもののネットワーク化を重視したかったこともありデータベースを新たに作成するに至りました。

文献データベースがない場合を考えます。Notionはページ間のリンクが簡単にできる(@+ページタイトル)のですが、これは裏を返すとページが存在していないものについてはリンクを作るのが比較的面倒ということです。

文献レビューをする時を考えると、大層じっくり読む論文と、Abstract + Introduction + 分析部少し、みたいな形で読むものが混在しています。つまり、レジュメや文献のメモを作るものとそうではないものが分かれるということです。

文献データベースが存在しない場合、文献メモを作成したものについてはリンクが作れますが、そうではないものはNotion上で忘却されます。流石にそれはまずいです。

従って、「メモは作っていないが読んだ」ようなものをリンクするために作ることにしました。(加えて最初メモを作るほどでもないと思ったものでも、後からメモを書いたりすることはあると思います。その場合も楽です)

Paperpileでもデータベース作成自動化はできる

ここで問題となってくるのが、Paperpileは独善的、ということです。類似サービスであるZoteroプラグインがとても優秀ですが、PaperpileはAPIが自由には叩けず大層苦労する羽目になりました。

しかし何事にも優秀で熱心な先人がいらっしゃるものです。Paperpileの文献はGoogle Drive上に保存されることに目をつけ、Google Drive経由でデータを取得してNotionにデータベース化するということをやってのける強者がいらっしゃいました。

参考リンクを貼っておきます。

note.com

基本的にはこの通りにデータベースを作成しましたが、1点工夫を施しました。先ほども述べたとおり、Notionのページリンクは@+ページタイトルで行うのですが、これをインラインで書くと、「アイコン+ページタイトル」の形でリンクが埋め込まれます。このページタイトルが論文名だとかなり長くなってしまい、可読性に乏しいです。

そこで「タイトル」プロパティの部分は「筆頭著者+出版年」にすることで、論文内で引用されるときと同じような体裁でリンクを貼れるようにしました。論文タイトルは、別に「テキスト」プロパティの形で読み込んでデータベース上には追加しています。(筆頭著者+出版年なので複数著者がいるときは面倒なのですが、そこはリンクを貼るときに自分で直しています。さしたる手間ではありません。やろうと思えばこれもjasonコードで自動化できるのではないでしょうか。)

(追記)一回やった後自動化できるのかという質問をいただきました。Gasのトリガーを設定すれば自動で更新してくれます。参考までに私は10分ごとに実行するよう設定しています。

出来上がったpaperpileデータベースが以下の通りです(SD停滞要因を調べていたのがバレる)。

Resumeの部分は、INBOXにリレーションしており、ここでページを作成すると、INBOX内(すなわちメインのデータベース)上にレジュメやメモが作成される仕組みです。また、Authorはマルチセレクトになっていて、同一著者の論文がソートできます。

なお、私はうまくいきませんでしたが、より直接的にはBibファイル経由でPaperpile → Git → Notionとする仕組みもあります。参考リンクを貼っておきます。うまくいったら教えてください。

github.com

Google drive経由である都合上、論文を保存してないと(書誌情報だけだと)漏れてしまいますが、理系分野だったり、社会科学系の分野は結構学内ネットワーク等を使えば論文+本共に落とせることが多いので、そんなに困ることはないです。

実際の使い方

以上でNotionでの環境の構築は終了です。以下では、どのように使っているかと簡単な便利Tipsをご紹介します。

全ての書き物を集約させる

Inboxには本当に、本当の意味で全ての書き物を集約させます。例えば、Paperpileデータベースにリレーションしている文献メモ、文献読みながら考えたノート、よりシステマティックに行ったレビュー、自分の研究のプロポーザル、他の人がゼミで発表した資料などなど、、。私の場合、計量的手法で政治学をやろうとしているので、Datasetについてまとめるページも作りました(実際にそのdatasetを使っている論文をリンクできるので非常に便利)

Notionはデータベース1つにつき、色々なViewを作成できます。例えば私はタグに沿って以下のようなビューを作成しています

  • InProgress:メインのビュー
    • 全部の書き物を放り込むなら、使わなくなったページを削除することも勿体無いので、そのような類のページはステータスを「Archive」にし、メインのビューでは「InProgress」ステータスのものだけ表示しています
  • Resume:論文メモ
  • Note:自分が考えたことをまとめたもの

新学期が始まるので、ゼミ用のビューを作成しようかな、など考えています。タグ管理のいいところは、このように後からタグを追加したり、タグに沿ってビューも自由に管理できる、要は1クリックでデータベースの「表示」を自由にいじれるところです。

論文メモを作成する

PaperpileのViewerで基本的に論文を読みます。その上で、以下の2つのフローでメモを作成しています。

理論的に重要等で本文の記述も記録しておきたい場合

この場合、Paperpileのannotation機能をフルに使います。Paperpileはannotationをexportする際にそのファイル形式を選べます。Notionは基本的にはMarkdownメモアプリであることを踏まえ、Markdownで出力した上で、Paperpileデータベース内、レジュメにリレーションしているところで新規メモを作成(こうするとInboxにレジュメが作成されます)し、全部をコピペします。すると、markdownの引用形式で全ての記述がコピーされます。これをいい感じに見出し構造等を加えれば即席英語レジュメが完成します(後でこれを同期ブロックで参照することが可能です。下に詳述します)

さらっと読んだがメモを残しておきたい場合

分析手法など論文の概要、気になったこと等をメモとして、これまたPaperpileデータベース内、レジュメにリレーションしているところで新規メモを作成してMarkdown記法で書き込みます。

自分のノートに論文メモや別のノートをリンクさせる

ここまではただ論文メモをNotionに保存しようねの回です。ここからがネットワーク構造化の方になります。Notionには、他のページの内容を参照する方法が2つあります

  1. ページリンク
  2. 同期ブロック

双方ともに読んだり考えたことを自分の中で結びつけることに相当使える機能です。以下使用例を記します。

ページリンクで参照文献を論文調に並べる

論文は基本的に「丸々と言われる(つらつら論文名)」と並んでいて、リサーチペイパーを書いてて思ったのですが、これを後から作ろうとすると相当だるいです。なるべく自分がメモとして考えている段階から楽に参照しておきたい。(清書はOverleafちゃんに任せれば良い)

これがPaperpileデータベースをページリンク、という形で実現可能、しかもPaperpileデータベースのタイトル部分を「著者+年」にしておくことで、論文内での引用と同等の効果が得られます。

リンクしたいときは先ほども述べたように「@+筆頭著者, 年」で検索をかけて予測を出してくれるのでそれをポチッとするだけです。resumeとの混同を防ぐために、文献メモの方は冒頭に「resume-」とつけるようにしています。

作業フローとしては以下の通りです。まず、何かノートを書きます、そこでPaperpileのタイトルをページリンクで参照します。もし文献メモを参照したいときは、ページリンクをクリック→そこにリレーションされている「resume-,,,」をクリックで飛べます。

少し面倒ではありますが、レジュメではなく文献データベースにリンクすることで、メモを作っていない文献も参照できるのがメリットです。

自分のノート間をページリンクで結びつける

ページリンクはNotionのページ間を結びつけるものなので、別に論文を並べるだけのためのものではありません。いろいろなメモやノート、ゼミ用のレジュメなどを、別の自分のノートに参照することができます。ページリンクを駆使することでノート間をネットワーク化することが可能になります(Scrapboxと同じです)

同期ブロックで引用をらくに

論文を参照する際、自分で意訳するだけでなく、論文本文を引用したい、執筆するときは意訳するけど、メモとしては引用しておきたい、ということがあります。そういう文献は大抵先の節で述べた文献メモの前半の方、すなわちPaperpileのannotationをコピーしていることが多いです。

文献メモ内にある論文の本文の一部をノートに貼りたい場合、基本的にはそのままコピペしたくなるところですが、Notionの場合、同期ブロックという機能を使えます。

同期ブロックについては以下のリンクを参考にしてください。

www.notion.so

要は、ブロックがもともと書いてあるページとコピペしたページの双方で同時表示・編集できるよという機能です。

これがあることで、文献メモのページから、その箇所を引用したい全てのページにネットワーク構造化した状態でコピペすることが可能です。文献の引用であれば、編集することはないとは思いますが、そのブロックは選択すると、それを同期ブロックとして扱っている全てのページをすぐ参照できるので便利です。

同期ブロックで考えをページ間共有

同期ブロックはページ間でブロックを同期させる仕組みなので論文の引用でなくても可能です。すなわち、自分がどこかしらのノートに書いた内容をそのまま同期することが可能です。ページリンクとして参照しても良いのですが、このページのこの場所!みたいな特定が可能でかつ、直接内容が参照・編集できるのが良いところです

(補足):ページリンクだけでなく、ページのブロックごとにリンクが設定されているので、ブロックのリンクも使えます。ただブロックリンクが必要な場合は同期ブロックで事足りることが多いです。

使用例を記しておきます。例えば1本論文を読み、それについてのコメントを文献メモに書いたとします。ただし、書いているうちに、その文献だけの問題ではなく、研究潮流全体への疑問とかをつらつら書いてしまうものです。そしたらその箇所をコピーして、新たに作成した(もしくは既にある)ノートに同期ブロックとしてペーストします。すると論文に対して作成した疑問が、自分の頭の中で別の文脈を持つ考えとして位置付けられるようになるわけです。

バックリンクは常に表示させる

以上で基本的な使い方はおしまいです。これ以降は便利tipsです(気づいたら追記予定)。Notionはページ設定で、バックリンクを常に表示させるかどうかを選択できます。バックリンクとは「このページがリンク『されている』ページ」を表示、すぐ飛べるようにする機能です。(Scrapboxがメイン機能として謳っています)

この仕組みこそがネットワーク構造を可視化させるものなので必ず常時表示の設定にしましょう。具体的にどうやるかは忘れました。

終わりに

仕組みを作ってから1ヶ月半は経つのですが、論文の読みっぱなし、考えたことを頭に放置しっぱなしということが少なくなった気がします。私も勉強頑張ります。改善策を教えてください。

 

追記

続きの記事を書きました。よろしければご覧ください

 

onakasuita-bot.hatenablog.com

 

ないのなら 自分で作ろう 政治学部 @東大法学部

はじめに

この記事は、政治学を学ぶ際に、東大の中ではどこに所属するのが良いのか悩んでいる人向けに1つの事例をネットに放流することを目的として書いています。

おそらく結局は、どこに所属していても、他学部で授業を受けたり自学をすれば変わらないというのが究極的な結論なのだと思います。とはいえ卒業要件等に縛られてなかなか思うようにいかないものなので、法学部にいくとこんな感じになりうるのだなという1つの参考にしていただければと思います。

書いている人について

書いている人はこんな属性を有しています

  • 文科2類に所属していました
  • 進学選択制度で国関・相関と法学部で2年の夏頃まで迷って法進しました
  • そのせいで1年生の文1用の法・政治の授業は受けていません(制度的にはじかれて悲しすぎるのでここは本当に改善してほしい)
  • 法学部では第3類政治コースに所属しています
  • 2年前期の時点で、模擬国連と前期課程のゼミに所属していた関係で国際政治・国際法の微かな知識だけありました
  • 数学は文科2類の準必修で2単位だけ微積分を勉強しました、線形代数の時の数学を取らなかったことを後悔しています
  • このまま政治学で院進します

想定している読者対象

この記事は、以下の人を読者として想定して書いています。

  • 現在東大の1年生で政治学関連で学部・学科選びに悩んでいる人
  • 法学部2、3年生で第3類に所属(所属を検討)しており、履修に悩んでいる人
  • 東大を受験する上で科類に悩んでおり、後期課程について知りたい人

注意事項

私自身が法学部に所属していた期間(2020年度2年生〜2022年度4年生)のほとんどは新型コロナウイルス感染症関連でオンライン講義メインの時代であり、たぶんにバーチャルキャンパス移動の恩恵を受けています。

あくまで一例に過ぎません。あと時間割は年々変わります。

授業内容等を詳細に書くのはよろしくないと思うので、授業カタログとして公開されているラインで書いています。問題があれば指摘してください。

 

進学先を決めるにあたっての各学部・授業形態の強み弱み

おそらく東大で政治を勉強したい!となると法学部・教養学部・文学部あたりが出てくると思います。どれも歴史が古く、各学部の強み・特色のようなものがあると思うので、所属を検討する際はそれらを考慮する必要があると考えられます。私自身が検討したのが法学部と教養学部のみだったので、この2つについて授業に関連するところに絞りざっくり示します。

  • 法学部(政治コース)
    • 授業形態:(マスプロと言われるような)講義中心+1セメ2単位の演習
    • 講義内容:地域ごとの政治史と思想史が強いのが特色
  • 教養学部(地域文化・国際社会科学)
    • 授業形態:文献購読と講義形式の双方、前者の量が法学部と比較すると特色
    • 講義内容
      • 地域文化:地域によって政治関連の先生が多かったり少なかったりするので対象としたい地域による。ただ外部の先生を呼んでいる授業もある。
      • 国際社会科学:方法論関連から国際政治・経済・政治思想などなど幅広いのが(おそらく)特色

これらの要素は進学先を決める際にも考慮に入れる指標になると思いますし、進学後、せっかく所属するならその学部学科の強みを活かした方が良いと思うので、弱みを補完する形で他学部の授業を取り入れていくことになると思います。

私の場合、講義+試験をメインにしてしっかり広めの知識をつけた方がいいかな、ゼミを増やしたければ他学部に突撃すればいいかな、というノリで法学部を選択しました。

法学部に所属する場合一例

私は、法学部に所属しながら、2A~4A(現在)の期間に、法学部・経済学部・教養学部の授業を横断して受講しながら勉強していました。

法学部は卒業するまでに80単位、うち10単位は他学部受講で埋めていいというシステムになっています。多分オーバーしたはず?
また、法学部の授業は経済学部のとの相乗り科目があるので、経済学部の授業を取りながら法学部単位として参入できるいい制度があります。
ちなみに法学単位は必ず必修に追加で4単位取らなければなりません、辛かったです。

以下、こんな制度の下2年半どんな感じで考えて履修を組んでいたのか記述します。

政治学の各分野と授業履修の関係

政治学を勉強する際、大体政治史、計量、数理、思想史(+基礎としての語学と数学)と言った分野についてある程度網羅的に勉強する方がいいと思っていました。前述のように各学部にはそれぞれの強みがある(と考えられるの)のである程度それに即して受ける学部と授業を決めることにしていました。

私が考えていたのは大体こんな整理です。(表にするのがだるいので箇条書きです)

  • 政治史/地域政治系
    • 講義形式で知識を入れたいなら法学部
    • ゼミ形式なら教養か文学部
  • 思想史
  •  計量
    • 理論なら圧倒的経済学部
    • 実践までの面倒見の良さは教養学部
    • 入門だけなら法学部QSS(後述)
  • 数理
    • 一応必修政治学ゲーム理論を推してくるので法学部△になるのでしょうが、多分経済学部。
    • 教養はこの辺がないイメージがありますね、国際政治系の授業で回収するんですか?
  • 語学:圧倒的駒場駒場外国語大学万歳!

ここで問題になってくるのは、キャンパス移動と1授業4単位開講という仕様になります。

キャンパス移動はご存知の通り、本郷→駒場は大体1時間程度かかるので昼休みを挟まない限り移動がキツすぎて受講のハードルがかなり上がります(私の時はコロナなのでバーチャル移動していました)。

1授業4単位開講は法学部と経済学部に当てはまっていて、週に2コマ確定で埋まってしまうので、履修を組むときに自由度が低くなります。パズルだと思って頑張るわけですが限度がありますね。

本来時間が無限にあれば、法+経済+文で基本的なラインナップを埋めて、教養学部でスパイスを効かせるみたいな受講が理想なんでしょうが、なんだかんだ以上のような仕様により、横断して組むのは大変です。というかまず法学部70単位が結構しんどかったりします。
大体法学部の授業はどの学期にどの授業あたりまでは固定されているっぽく、過去の時間割もHPに載っているので、3S~4Aの2年スパンで考えておくといいと思います。なおそれでもなかなかうまくいきません。

実際の2年間の履修内容

実際に3s~4Aの履修を貼り付けながら分野ごとにまとめていければいいなあという感じです。2Aはまあ好きな科目を取ると良いと思います。ヨーロッパ政治史は楽しいのでおすすめです(ステマ)。

太字が教養学部、下線が経済学部の表記です。

<3S>

IQSS

 

 

 

IQSS/日本政治外交史

比較政治2

発展途上国

イギリス政治ののゼミ

 

政治学

 

政治学

 

 

 

 

 

日本政治外交史

 

 

 

 

国際政治

分析手法

フランス語初級

ヨーロッパ

政治史演習

 

 

<3A>

 

 

比較政治1

 

 

現代政治理論

 

 

 

 

比較政治1

統計学

政治学演習

比較政治3

アメリカ政治外交史

 

統計学

 

 

アメリカ政治外交史

 

 

フランス語初級

 

 

 

<4S>

 

 

 

 

日本政治

 

西洋法制史

 

 

西洋法制史

 

 

 

 

 

 

日本政治

 

 

現代アメリカの政治

 

国際政治史演習

 

 

 

このセメスターは春休みから始めたリサーチペイパーの執筆やら何やらで死んでいました。履修少なくて悲しいですね。計画的に物事を進めましょう。

<4A>

 

 

 

 

 

 

労働経済

 

 

労働経済

計量経済学

 

 

計量経済学

フランス語購読

 

 

 

比較政治3

 

 

 

 

ヨーロッパ

政治史演習

 

先ほど分けた分野ごとまとめ直します。

<政治史とか地域政治とか>

比較政治系の講義を3年生で(3Aの政治学演習におけるマッケルウェイン先生の比較政治セミナーを加えると)10単位取った上で、アメリカ政治外交史やら、教養学部のゼミを取ったりしました。

細かくいうと

  • 比較政治1:旧ソ連諸国の政治
  • 比較政治2:発展途上国の政治(というより比較政治の理論)
  • 比較政治3:西ヨーロッパの政党政治
  • イギリスのゼミ:成蹊大学の高安先生が地域文化に出講なさっている議院内閣制のゼミ
  • アメリカ政治外交史:そのまま
  • 日本政治:そのまま

他に取るなら,,,
法学部では、特別講義形式で「現代〇〇の政治」が何年かに1回ずつ出されるのでそれを取るのと、(私が取っていないだけで)アジアの政治もしっかりあります。
駒場の地域文化はおもしろ授業を出しているのでUTASを確認することをお勧めします。

<計量>

(基礎統計を自分で勉強し直す)→IQSS+国際政治分析手法→統計学計量経済学
の順番で勉強しました。

法学部には今井耕介先生が(おそらくほぼ善意で)出講なさっているIQSSという授業があります。以下の本を教科書としているのですが、この本自体を1人で完走するのは多分辛いので、とりあえず早い段階(3s)で受講するのをお勧めします。授業受ければついていける難易度なので。

 

 

 

とはいえ、統計の分布やら仮設検定の考え方、そのほか回帰分析の理論などは甘い理解になってしまうので、統計→計量経済の受講は本当に良かったと思っています。経済学部万歳!
そしてなんと統計は経済学部の講義を法学部単位で取れるので、他学部受講扱いになりません、法学部万歳!
以下が使用されている教科書になりまする。

 

 

 

なお、3a→4sのタイミングで、統計検定2級をとりあえず取ったのと、以下の本で補足の勉強をしました。

 

 

より効率的な順番は
政治学と因果推論』を読む→統計受講(2A)→IQSS受講(3S)→『統計的因果推論の理論と実装』を読む→計量経済学(3A)を受講
だと思います。

<数理>

ゲーム理論の授業を経済学部でとりたかったんですけど、3年生では計量系の授業に潰され、4年生ではリサぺの圧力で圧死しました。

なお、まずいと思って入門だけこれで勉強しました。割とわかりやすくておすすめです。

 

<思想史>

法学部で川出先生の授業を6単位3年生で頂戴しました(政治学史+現代政治理論)。

他に取るなら,,,
日本政治思想史、法哲学など他にも色々授業が法学部にはあります。
あと聴講だけして途中で出なくなりましたが教養にも相関の必修か何かとして森先生の講義があります。

<語学>

2Aでドイツ語を学び直し、3~4年でフランス語をやっていますが、全然足りないので精進が必要です。
語学を学びたいのであれば駒場で授業を受けるのが良いです。本当に多種多様な授業揃っていてすごい。今はLe Mondeを読んでいます。楽しい。

自分の履修の反省点

楽しく勉強を続けられましたが以下のような反省点があるので参考にしてください

  • リサーチペイパーは3年後半には書き始めればよかった(4Sが死んだのが心残り)
  • もう少し文学部の授業も受けられれば勉強になったと思われる。
  • 毎セメスター搾りすぎたかもしれない(コマ数増やせばさらに網羅的に勉強できます)
  • 語学の購読の授業をもう少し臆さず取ればよかった

おわりに

毎学期UTASと一日中睨めっこして履修を組んでワイワイ勉強するのは楽しかったのですが、まあなんか荒削りというか改善点もあったので、ぜひ同じようなことしたい人の参考にしていただいてより良い学部ライフを送っていただけると嬉しいです(おしまい)。