政治学研究構想用プロンプトを試行してみている話
会話が無制限に発散していくのが嫌だ!!!!!!という叫びと共に研究構想用のプロンプトを作成してみたという共有記事です。
なぜプロンプトが必要か
研究構想壁打ち民の存在
よくツイッターをみてみると、いろいろなアイデアをAIにぶつけているという話をみる。
https://x.com/prof_ai_hack/status/1995004097658065172?s=20
研究のアイデア出しや考察で行き詰まった時、AIに「正解」を求めるのではなく、「最悪のシナリオ」を考えさせると視点が広がります。
— コーヒー底つき研究室@首が回るフクロウ (@prof_ai_hack) November 30, 2025
プロンプト例:
「私は〇〇について研究しようとしています。…
https://x.com/rkmt/status/1971013150301643248?s=20
研究アイデアの萌芽みたいなのをLLMにぶつけて先行研究を聞き出すうちに新しいアイデアを思いついたりする。それをまたAI壁打ちして、ひと段落ついたところで「今までの会話で研究テーマとして成立する、新規性・有効性のあるものを列挙してください」というとかなり良さげなものをまとめてくれる。既…
— Jun Rekimoto: 暦本純一 (@rkmt) September 25, 2025
ぱっとアイデアを思いついたときや、何か行き詰まったときにAIに投げてみるというのは最近私もよくやる。少し前に、夜のうちに家に蜂もどきが出たときにどうしたらいいか泣きついたりもした。
研究アイデアの検討というものは「書いてはけしてのアイラブユー」のようなもので、1回煮込んだうえでダメそうなら全消しして放置したりとサイクルを回す必要がある。しかも自分のアイデアを批判してくれる相手が欲しい。
従来ならKnowledgeを蓄積しよう!みたいな話でアイデアを思いついたらメモしておくみたいな方法が主流だったが、今はAIがあるので思いついたら一度ある程度のプロポーザルの形に落とし込むことも可能になった。
ただ、アイデアとりあえず投げて会話を始めてしまうと、会話があっち行ったりこっち行ったりして、プロポーザルとしては特定の箇所が煮詰まっていつまでも完成しないということになってしまった。
最大の問題は、会話に何の制約も課していないので、私が質問した内容にしか応答してくれず、その前に話していた内容がいまいち反映されないということにあった。会話内容を踏まえて一旦まとめてもらってもどこから突っ込んでいいかわからないし、一度突っ込みを始めると、そこばかり対応してほかの箇所が放置されてしまうという問題もある。
ならば、毎回会話で入力を包括的なものにすればいいじゃないとIQ200諸氏に突っ込まれるかもしれないが、それは面倒なのである。そもそも、簡単に相談するためにAIを使っているのに、なんでやりとりを複雑にする必要があるんだ!!!!!
プロンプトの概要
というわけで、GPTを作ることにした。以下のプロンプトはGeminiとChat GPTの合作である。具体的にはGeminiに頭出しをしてもらって、Chat GPTに詰めてもらった。使用はChat GPT上で行なっている
プロンプト詳細
# 研究構想用 GPTプロンプト(完全版:Evidence-first / Explore→Converge→Package + Novelty Gate)
## 【役割】
あなたは政治学(比較政治・政治行動・政治コミュニケーション・計量/定性/混合手法)を専門とするシニア研究者です。ユーザーの断片的アイディア(バイブス)を、学術的に耐える研究計画へと昇華させる「思考の外部メモリ」として振る舞ってください。重要:最初から計量/定性の型に当てはめない。**「どんな主張を、どんな証拠で支えるか(Evidence-first)」**を優先し、分析手法は後段で選択肢として提示する。
批判は歓迎だが、**指摘1つにつき必ず修正案または代替案を1つ**出す。
---
## 【Mode Switch:Explore / Converge / Package】
各回答の冒頭に必ず `Mode: Explore / Converge / Package` を明記する。### Mode: Explore(発散)
- 目的:問い・メカニズム・競合理論・証拠バスケットを広げる
- 方針:確定を急がず、複数案を並走。不確実性は仮置きでOK
- Mermaid:任意(出すなら代表図を最大2つまで)### Mode: Converge(収束)
- 目的:主張・メカニズム・証拠計画(最低限の証拠セット)を1本化し、実行可能な計画にする
- Mermaid:Mechanism Map(必須)+Workflow(必須)
- **Novelty Gate(新規性ゲート)**:条件を満たしたら必ず起動(詳細は後述)### Mode: Package(引き渡し)
- 目的:他人に見せられる/コーディングAIに渡せる「仕様書」にする
- Mermaid:最終Mechanism Map+最終Workflow(必須)
- 追加:Evidence Plan、Data/Corpus Spec、Coding specを固定形式で出す---
## 【自動のモード移行提案(1行)】
毎回、条件を満たしていそうなら次モード移行を**1行で提案**する(ユーザーが「OK」と言ったら移行)。- Explore → Converge の目安
1) 研究質問が1文で安定
2) 中心メカニズムが1〜2本に見える
3) 競合理論が2〜3本に整理された
4) 最小証拠セット(MEV)が見えている(新聞でも統計でもよい)- Converge → Package の目安(※Novelty Gateを追加)
1) MEV(Minimum Evidence Viable)が確定
2) 証拠収集/管理の工程が具体化
3) 主要概念の操作化(量でも質でも)が固まっている
4) どの分析アプローチで「何が言えるか」が仕様化できた
5) **Novelty Gateが完了し、「既存研究との差分(1〜2文)」が確定している**---
## 【出力の基本ルール(毎回)】
1) 冒頭に**ユーザー意図の1行要約**を書く。
2) 原則、確認質問はしない。前進に必要な場合のみ**最大1点**だけ質問する。
3) 不明な前提は **仮置き(?)+確度(高/中/低)**で明示する。
4) 研究テーマに対して **量/質を区別せず「証拠(Evidence)」として扱う**。
5) 最後に必ず **次の一手(ToDo 3つ)** と **更新ログ**(変えた点)を出す。---
# 【骨格(Evidence-firstの4本柱)】
- **パズル**:既存研究と現状のズレ/未解決点→「なぜこの研究か」
- **メカニズム**:因果/過程/意味づけの鎖(A→B→C)を明示
- **証拠設計(Evidence Plan)**:主張を支える最小証拠セットと見分ける証拠
- **実行計画(Workflow)**:収集→整理→分析→記述→執筆を詰まらせない---
# Phase 0:MVP(最小仕様)—短く、毎回
- 研究質問(1文)
- 主要仮説/主張(1〜2)
- メカニズム(A→B→C の一行)
- 競合理論(最大2つ)
- 主要概念の暫定定義(X? / Y? / Key Z? など、確度つき)
- 境界条件(どこで/いつ/どんな制度条件で成立しそうか 1行)---
# Phase 1:Mechanism & Rivalry(メカニズムと競合理論の整理)
## 1) Mechanism Map(必須:Converge/Package、Exploreは任意)
Mermaidで **メカニズムの流れ** と **観察できるポイント** を可視化する。
形式は `flowchart LR` か `graph TD` のどちらでもよい。```mermaid
flowchart LR
X[原因/入力 X] --> M1[メカニズム1]
M1 --> Y[結果 Y]
R1[競合理論R1] --> Y
Obs1[観察可能な含意1] --- M1
Obs2[観察可能な含意2] --- R1
ポイント1: フェーズを分ける=わざと発散させてから収束させる
だいたい3つのフェーズに分かれている。
- 発散
- 収束
- 仕様書化
である。本質的には1→2に加えて先行研究レビューをする感じである(レビュー自体はざっとしてもらう感じ)。3はアイデアを人に共有したり自分で保存しておくようにアウトプットを作成してもらうためのフェーズである。
要は単にチャットを続けていると、発散し続けるか、最初から収束してアイデアの広がりがない、ということを防ごう、という狙いがある。
だいたい、フェーズの意向は向こうから提案してもらえるように決めていて
Explore → Converge の目安
研究質問が1文で安定
中心メカニズムが1〜2本に見える
競合理論が2〜3本に整理された
最小証拠セット(MEV)が見えている(新聞でも統計でもよい)
このようにおおよそ研究の主張の輪郭が見え始めてきたときにするようにしてみた。別にこちら側がまだ発散する余地があると思ったら続けても良い
mermaidで作成したフロー図によればこんな感じ

ポイント2: フローまで書かせる
どんだけ煮詰めて考えても、実現が不可能な計画を立て始めたら全く使い物にならない。そのため、研究のメカニズムや実際の実行のフローを書かせるようにした。その結果としてアイデアをアイデアとして終わらせるだけでなくどのようなデータを使えば実行可能かまで検討できるようになっている。
出力に対してこちらが何を返せばいいのかをある程度まとめさせる
長々とAIに出力されるとどう対処すればいいのか面食らうことが多い。それを回避するために、議論を進めるための質問を1問だけ許容している
原則、確認質問はしない。前進に必要な場合のみ最大1点だけ質問する。
ここで指定しており、これによってこちらは激長出力に対して当惑したときに何を答えればいいのか明確になる。別に出力内容にケチをつけ続ける運用をしても良いと思う。私のおつむだと全部を突っ込み続けるのはだるいので基本的に1-2箇所修正指示を出した上で、全体のサイクルに戻る感じになり、あまりケチがなければ質問に答えるようにしている。
試行してみての感想
今のところ調子がいい。だいたい以下の点が気に入っている
- ゼミ中のラリーのように構造的なやりとりができる
- 1箇所に特に集中して全体像がどっかに行くようなことがない
- こちらが応答に注力してもAIが話を全体的に進めてくれる
- フェーズについて相互理解があるので、今はどのフェーズで何を詰めるべきかの議論が明確になる
一方で、以下のような欠点もある
- ある箇所をとことん議論したいときには不向き
- チャットを分ければいいのかも
- 毎回結構な量を出力してくるのでラリーに時間がかかる
- 今後モデルの進歩に期待。なお今使っているのは5.2 Thinking
- AIが出してくるmermaidの図が汚い
- これもおそらく後から修正ようのチャットを設ければいいはず
ただこのpro/conは表裏一体なので、もうしょうがない話ではある。
おわりに
まだ試行中なのでまた進展があれば共有していきたい。
研究進捗を可視化する:進捗報告会とwriting group
はじめに
以前、以下のような記事を執筆したときに(ごく)一部界隈から大変大きな反響をいただきました。
確認したらうっかり私のせいで5月にこの会をたち消えさせてしまっていたみたいなのですが(ごめん)、今はなぜか別の2つの会を進めているので、その経過報告をまとめてみようの会です。
Spring GXというJSTの研究奨励金?をいただいているのですが、そのプログラムの過程で、経済史方面の同期(まさかの駒場で同じクラスだった)との共同研究が採択されたので、彼と1月に一度の進捗報告会と週に1度の黙々執筆会(通称writing group)をしています、という話になります。
修士課程と博士課程での変化:明確なアウトプットの必要性
research groupという形で以前は週に1回の進捗報告をしていたのですが、おそらくこれは今思うと修士課程向きであったように思います。修士課程というのは①研究テーマが完全には定まりきっていない②論文を書き慣れていないという2点において、毎週なんらかの形で報告し合わないと日々が特急電車のようにすぎていってしまいますが、博士課程はそうではありません。
基本的には①修士論文をベースとしたある一定の関心が固まっており、②論文も書き慣れ始めてある程度作業の見通しを立てやすくなっているため後は手を動かすだけ、という状態のことが多いように思います。少なくとも私は現状4本の論文を溜め込んでおりそんな状態です。
と、いうわけで今の私には、頻度を下げ、かつ研究のoutputを確実に生産するための、月に1回の進捗報告会と毎週のwriting groupがあっていそうです。
研究内容と進捗を可視化する:進捗報告会
Spring GXの共同研究プログラムに採択されてから割と早期に始めました。記録によれば5月から12月まで毎月続けているようです。基本的にお互い30分ずつ程度使って報告をし、報告の途中か終わった後に軽く質問したり雑談に近い相談をしたりします。
報告内容は大きく分けて2つで、①今月進めた内容の紹介②今月の進捗がどの程度のもので来月何をするか
他分野の研究を理解する:研究内容の報告
進捗報告と言いつつ毎月軽い研究報告になっていてかなり助かっています。だいたいその月に何か書いたり出したり分析したりしたものについてドライブにアップロードないし報告資料に簡単にまとめて口頭で説明します。私は政治学畑なので、毎月生きてるだけで日本経済史の研究が聞けることそれ自体がだいぶハッピーな経験になっています。特に経済史は政治史とみたところ資料の使い方が若干違う感じがしており、外交史のゼミを併せてとっていた私にとってはディシプリンの違いを勉強するいい機会になりました。
また、基本はオンラインで行っているのですが、対面で一度開催したときに、一次資料のファイルの仕方とかを直に見せてもらえたのも楽しかった思い出です。
進捗の宣言をする:研究進捗の報告
これはresearch groupと変わっていませんが、研究進捗の評価と今後の見立ても同時に報告します。先月宣言していた進捗がどれほど進んだか、そしてどのように今後研究を進めていくか、です。
この会のちょうど良いところは、指導教員に宣言するよりは肩肘張らないが、一人で抱え込むよりはpeerが働くことです。1ヶ月となるとそこそこの進捗を産まなければなりませんが、時折うっかり体調を崩したり急に忙しくなるなどの問題が発生して進まないときもあります。その際に指導教員に事情を説明するのはやや気が重いが、同期であれば「進まなかった😭」の一言で終わる、けど相手は進んでいるので悔しい、そんな温度感です。
ただ、数ヶ月続けてお互いわかったこととして、分析や論文・本を読むといった内容面の作業は割と進むが、学会報告の修正等の論文のブラッシュアップの時間を取るのが難しいということが挙げられます。というわけで私から誘ってwriting groupも開催することにしました。
研究を進める:writing group
これは簡単な話で、「週に1回2時間Google Meetを繋げて論文を書く」会です。もう強制的に「書く」だけの時間を作ろうと思って始めました。最初は単に時間を取るだけでも変わるだろう、と思っていただけなのですが、案外別の効果もありました。
1週間のスケジュールが立てやすくなる
週に一度執筆時間が決まっているということは、その日までに執筆に必要な素材を揃えていなければなりません。したがってその前々日や前日に読む論文や素材を並べて考えたりメモを書いたりする時間が増えました。
前々日とかに準備する時間がなければその日の午前中が準備の時間に当てられます。なお適当に時間調整をして13:30-の開催にしていますが、お昼を食べて眠い時間に緊張感を感じられるのはちょうど良かったのではないかと思っているところです。
作業のTo-doリスト漏れが少ない
週に1度は作業をしているので、期間が空きすぎて何をしているか忘れるということがほぼありません。基本的に進捗は逐一メモをすることで、抜け漏れがないように心がけているつもりですが、そうしなくてもだいたい先週は何をやったと覚えていられるようになりました。
他の研究もなぜか進む
writing groupの研究が進むのもさることながら、なぜか他の研究の進みも良くなりました。1つの研究の時間がwriting groupベースで区切られて進んでいくのと並行して、時間の確保を意識するようになったからかもしれません。もしくはwriting group用の準備がその研究の「飽き」を促進し、別の研究への着手を促しているのかもしれません。いずれにしてもwriting groupを始めてからの進捗報告会の密度が跳ね上がりました。不思議。
おわりに
research groupや数多の読書会(今度読書会運営の気づきをまとめます)、今回の進捗報告会・writing groupを含め、周りの人を自分の好きな方法に引き摺り込みながら元気よく生活できています。みんなvery thank you.
学振DC2採用までの記録(政治学)
はじめに
この度、めでたく(?)学振DC2の採用内定となりました、政治学D1の学生です。一応採用に至るまでの申請書略歴と、結果、思うことを記録のためにまとめておこうと思います。
学振DC2までの申請書提出遍歴
学振DC2に至るまでは、以下の順番で申請書を提出し、受かったり落ちたりしました。
M1秋:東大卓越RA(高齢社会)→不採用
↓
M2春:学振DC1(政治学)→不採用
↓
M2冬:Spring GX(先端ビジネスロー卓越大学院)→採用
↓
D1春:Spring GX受給開始、学振DC2(政治学)→採用
学振DC1不採用からSpring GXまで
学振DC1提出にあたっては、先生・先輩方に何回も添削していただきましたが(ありがとうございました)、9月に不採用の通知が来ました。当時の成績の記録が残っていたのでまとめると以下の通りになります。
- 不採用者の中の位置付け:不採用A
- 評点結果について
- ①研究計画の着想・オリジナリティ:3.50
- ②申請書から推量される研究者としての資質:3.83
- 総合評価(相対評価):3.17
- Tスコア:記録が残っていない
絶対評価から相対評価が一気に落ちているのが何があったのかよくわからなかった覚えがあるのですが、とにかく比較すると研究計画の部分が相対的によろしくない、という学びを得ました。実際、DC1の計画書を振り返ってみると、大きなことは書いているけど計画まで含めて全体的にふわっとしているため、実現可能性等々の部分で不足があったことが伺えます。
そこから修論を書いた後のSpring GXの申請書においては、より計画を具体化すること、切り口を見えやすくすることに重きを置きました。具体的には私は比較政治をやっているので、自分の扱う事例を絞り、その重要性をしっかり強調する、ということです。結果的に学振DC2はSpringの申請書から大枠変えていないので、この修正がはまったということだと思います(後述)。
学振DC2採用について
学振DC2提出時期は、正直別件で色々と抱え込んでいたので具体的には覚えていませんが、とにかく実現可能性を高い計画に魅せられるよう、具体的な作業まで落とし込んで書き込みました。修論提出後から申請書執筆時までの研究の進捗も丁寧に書くことで、「あとはお金があれば研究進みます」状態を強く押すことを心がけました。DC1の時とは別の先生にコメントをいただきましたが、基本的には2,3回直した程度(余力がなかったので)で提出までいったと思います。
評点開示の申請が通ったので今回の結果もまとめておきます。自分の書類審査区分は34人申請中、3人が採用内定という結果でした。
- 評点結果について
- ①研究の着想・オリジナリティ:3.60
- ②学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること:4.00
- 総合評価(相対評価):3.60
- Tスコア:2.868(上位15-20%あたり?)
一応計画書の部分も上がったらしいことが分かりますが、相変わらず②の部分が高くて、ナルシストか何かに感じて嫌な気持ちになりました。1年で、絶対評価の部分がそこまで変わっていないのに、相対評価が一気に変わったので、やはり他にどのような申請者がいるのかが大きな要因としてあるのかもしれません。しかもTスコアも採用される値なのかよくわかりません。学振戦線は複雑怪奇。
おわりに
とりあえずの記録を残しておきます。申請書を参考にしたい方で、私の連絡先がわかる人がいらっしゃれば連絡をください。知り合いでない方はごめんなさい。
卒論ない学部を卒業してから修論を書くまでの話
はじめに
この記事は、卒論を書かない学部を卒業した人間が、四苦八苦しながら修士論文を書くまでの流れでどんな生活をしたのかを放流しようという目的のものです。
実際には、論文を書くまでのテーマ選びには偶然があったり、研究そのものもうまくいくかよくわからないまま進んでいくものですから、人によって進みはまちまちで個人差はあると思いますが、ネット上にこういう体験記がないよりはあったほうがよかろうということで書いていこうと思います。
前提条件
この記事を書いている人間は、法学部で卒論を書くという経験をしなかったため(リサーチペイパーなるものはありましたが、15000字程度でかなり限定的でした)、修士論文で急に「はい、論文を書きなさい」となることに怯えていたという背景があります。
大学によっては、私と同じような分野であっても卒論をしっかり書くところもありますから、その場合は全く参考にならないかもしれません。
卒論を書いていない人間にとって修士課程で大変なこと
卒論がない、というのは学部にいる間はかなり楽に感じるのですが、大学院に進学したのちに修士論文を書かなければならない、ということを考えるとそれほど良いものでもありません。特に以下の点に難儀しました。
研究を進めるためのスケジュール感がわからない
これが最大のポイントなのですが、自分が研究を進めていく上で、何にどれくらい時間がかかるのかわからず焦燥感だけ募る、ということが挙げられます。特にどのような方法論で何をテーマに書くか決まっていない、ということになるとなおのことです。修論を書き終えた現在であれば、基本的にどの方法論を今の自分が使えるか、興味関心のあるテーマはおよそ決まっていますから、大体To-doを洗い出して作業を進めることができるのですが、卒論もなくほとんどまともに「研究」なるものをやったことがなかったので、テーマを決めるまでに何をしたら良いかわからない、暫定的に決めてもどのような作業をしたら論文になるのかわからない、という状況でとても困り果てました。
書き慣れていないので、書くスピードが遅い
コロナで在宅学習であり、今のようにAIが発達していたわけではなかったので、他の時代の学生と比べるとレポート課題をこなしていた量は多かったと思いますが、それでも論文なるものを書き慣れているわけではありません。下に示したように、何かしらのアウトプットをする練習は修士課程に入ってから進めていましたが、それでも書くのがそれほど早くなく、かなり苦労しました。後単純に日本語の表現や読みやすさに難があります。
知識が足りない
論文を読んでいても、自分の研究の先行研究として読む、というのと勉強のためにさっと読むというのではどうしても身につく知識の量に差が出ます。特に、研究室文化が学部時代にはなく、それほど指導を綿密に受けられるわけではないような学部の場合はなおのことです。私の場合は指導教員が進学が決まった後のゼミで色々な文献を読ませてくれる、という経験をしたのでまだマシだったかもしれませんが、普通にいくと教科書に書かれているような内容以外は身になった形での知識はそれほどつかないような気がします。
修論を書くまでのスケジュール
以下では、実際に私が過ごしたスケジュールをつらつらまとめます。院進前の人の若干の参考になれば幸いです。
院試合格から入学まで
旅行をするなどもしていましたが、教科書を読み込んだり語学をしたり、ゼミを受けたりと基礎的な力を身につけることに集中していました。特に、1月ごろに指導(予定)教員から春休み中に何をするつもりかとメールで尋ねられたので、その際に上記の内容をまとめてその通り勉強を進めた記憶があります。
また、幅を広げて論文誌を読む癖をつけるために試行錯誤していました。この時期のおかげで基本的な論文の読み方がわかったような気がします。具体的にはGoogle scolar Alartをひたすら登録したり、論文誌のalartにも登録したりと色々していましたが、結局今はRSSフィードに頼りきりで全て解除しています。
-M1の冬まで
かなりの時間を授業の予習にとられました。その中でも、研究科外の授業をなるべく取ること、そして後述のように授業の内容を自分の研究に繋げることを意識していました。中にはフランス語をほぼ先生と1対1で読んで毎週家で悲鳴を上げるだけの時間もありましたが、全て良い思い出、ということにしたいです。ただ、何事もほどほどが大事で、私は春学期の授業のうち、ほとんどを研究科外の先生のものにしてしまい(3/4)、流石に怒られました。
修論に関しては、この時期はさして進まなかったですが、たまたま受けた別の研究科の授業用に書いた(自主)タームペイパーが、ワークショップで報告するタネになり、ひいては修論のもとになっているので、この時期にテーマが確定したと言えそうです。
ただ細かいテーマが決まっていなかった分、たくさん論文を読もうと思い、午前中に1本毎日レジュメを作る朝論の習慣は作っていました(その後ペイパーを書くようになってやめました)。
M1-M2間の春休み
頑張って修論の細かいテーマ確定の試行錯誤をしていました。秋学期のタームペイパーを出したら修論としては却下され、新しく出したらもう一度考えろと言われ、とにかく一番精神的に疲弊していました。しかもこれと同時並行で学振の申請書が顔を覗かせてきます。春を乗り越えればきっといいことがあります。
ただ、この時の自分に伝えたいこととしては、意外と授業期間中(M2春以降)も時間があるよということです。流石にM1程授業は受けませんし、特に他にやることもありませんから、まあまあこの時期にテーマが確定してなくてもなんとかなるのかもしれません。実際なんとかなりました。指導教員からは、6月ごろまでには骨子を決め、秋頃からは本文を書き始めるように、とのスケジュールの指導がこのタイミングで入りました。
学振提出まで
3月末から5月頭までは基本的にかなりの時間を学振の申請書作成に奪われます。結局私はDC1は落ちてJST Springのお世話になることになりましたが、基本的に書いていることのベースは変わっていないので、この時期に申請書執筆の時間をしっかり確保してよかったなと思います。
ただ、時間をかけるといっても一人で悶々と文章が出てこない状況と戦ってもしょうがないので、もし先輩方の申請書を見せていただける状況にあるならば、最初は一旦見よう見まねで書いてしまい、そこから書いてはコメントをいただき、書いてはコメントをいただきと、色々な人の意見を取り入れることに時間をかけるほうが良いと思います。
学振提出以降のM2春学期
学振提出以外は基本的に足りない単位を埋めつつ、修論の骨子を少しずつ見つけていく期間になりました。今のテーマが決まったのがおそらく学振によるもので5月末、細かいところでは7月頭には確定していたと思います。
M2夏休み
海外(ドイツとフランス)に逃亡しながら、修論の中心になる分析をしたり、本を読んだりしていました。その間に先生にオンライン面談に連れ出され、何回か2時間程度お話をした記憶があります。研究科有志の先輩方主催の修論中間報告会がちょうどこの時期に(9月)あり、それに合わせて指導教員と相談をしながらレジュメを作成しました。報告会自体はあんまりうまくいかなかったですが、、、。
M2秋学期 - 修論提出まで
気合いです!!!!よく寝ましょう!!!よく寝てよく(ゲームで)遊んでよく書いていました。ただ授業は受けられます。2コマ受けてもまあなんとかなりました。
気をつけていたこと
時系列の他に以下では特に気を付けていたこと、できなかったことをまとめていきます。
各学期の目標を決める
各学期授業を受けていたら終わっていた、ということにならないよう目標を決めるようにしていました。まず大きくは「学期ごとに2本レジュメ or ペイパーを書く」です。大体二本くらい何かに繋がりそうなタネがあればうまく修論までの予行演習にもなるし、あわよくば修論になるんじゃないかと思っていたのですが、結構うまい塩梅だったのではないかと思います。
これに加えて、学期ごとに修論を書くのに必要な力のうち何を伸ばす期間にするかをおよそぼんやりと考えながら過ごすようにしていました。例えば、M1春であれば、論文のレビューをしっかりできるようにしつつ、一旦データ分析まで回す力をつける、みたいなことを考えて研究用のレジュメを書いていた記憶があります。
授業の内容をアウトプットに繋げる
せっかく広い範囲の授業を受けても身にならなかったら仕方がないので、なるべくレジュメかペイパーを書いてアウトプットに繋げるようにしていました。一回書くと何が自分に足りないか、どこに興味関心があるのか、何なら自分にできそうか、がおよそ想像がつきますし、研究の進め方も掴めてくるのでかなり自分にはあっていたと思います。あまり良い例ではないと思いますが、入試や資格試験に対する模擬試験を受けているのと同じ感覚だと思いました。
身になる以外にもいいことはあり、M1の春に受けた他研究科の授業では、そのテーマで課されてもいないタームペイパーを担当教員の方に送付した結果、なぜかとんとん拍子で研究家に呼んでいただいて色々なアドバイスを頂けました。まず手を動かし、当たって砕ける、これだいじ。
簡単なものでいいからアウトプットを出し続ける
特にM1の間は授業を受けることに忙殺されるのですが、それでも何かアウトプットし続けなければまずい、とひたすら書くようにしていました。これをやるために工夫していたことについては別の記事でまとめたのでご参照ください。大事なのは人を巻き込むことだと思います。
論文誌の最新刊をチェックし続ける
普通皆やるのかもしれませんが、私はすぐサボるので意識して時間を取るようにしていました。特に電車でフィードをボケッと眺めているのがとても楽しいです。Feedlyによると30程度の英語査読誌が登録されています。あとたまに先輩に面白そうな論文を共有することを楽しみにしていました。
進捗は全てメモに残す
読んだ論文のメモ、研究の内容についてのレジュメだけでなく、その日ごとに行ったタスクをメモに残す癖をつけました。結局研究は断続的に行うものなので、少し日が経つとどのような作業をしていたか忘れてしまい、うっかりデータ分析だと重要な処理を忘れかねません。メモだいじ。
バイトに行くことに罪悪感を覚えない
割と大事なところだったと思います。研究時間の確保が大事という言説がある中「働かざる者食うべからず」の精神で元気よくバイトに行っていました。そもそも研究だけやって煮詰まって集中力が落ちたり鬱病になったりしたら元も子もないですし、飲み会や外食を削れば割と時間はできるので、別にバイトをしてはならないなんてことはないと思います。
ただ、バイトに行くことと、バイトをしていることを公言することはまた別なので、研究第一主義の人(先生)の前で大っぴらに言うことは避けていました。
病院に行く
人それぞれ色々な体の不調があると思いますが、放置せず病院に行く時間を作ることをお勧めします。最初は腰が重かったのですが、婦人科に行くようにしてから諸々の不調が改善され、もう少し早く行っておけばよかったという気持ちになりました。
よく寝る
最後に、無理にでもよく寝るようにしていました。ここは本当に人によると思いますが、私の場合は夜の1時を過ぎてくると涙が出てくるタイプなので、その場合は朝6時に起きれば良いとして寝る、という形で一旦強制的に睡眠を取るようにしていました。
特に修士課程はある程度コースワークをこなさなければならないので結構難しいかもしれませんが、なるべく心身の健康のために睡眠時間を確保したほうが良いと思います。
できなかったこと
指導教員に頻繁に相談する
これはいまだにできていません。難しい。お酒と予約投稿のシステムに感謝。
長めのレビューを書く癖をつける
いまだに先行研究レビューをしっかり厚めに書くということが苦手な理由の一つが、長めのレビューを書く癖がそれほどしっかりついているわけではないというところにあるのかなと個人的には分析しています。論文を読んだ時のメモはまとめられるけれど、ある程度一貫した問題意識のもとに論文をレビューする、というのがなかなかできておらずもう少し詰めればよかったなと反省しているところです。
お勧めすること
とにかく大量に読んで大量に書いていろんな人と(プライベートか授業で)話す!!!!!
これにつきます。まず量から始めてそれから質を気にすれば多分なんとかなると信じています。
おわりに
入学から修論提出まではおよそ1年半なので、あっという間のように見えますが、意外と長いです。しっかりPDCAさえ回していれば割と色々なことができるので、焦り過ぎないことをお勧めします。
もはやNotionには下書きアプリが必要 - Bear
はじめに
(注意)気づいたら「ですます調」が抜けてしまっていました。。。
私のブログの数少ない記事の中でいまだにいちばん読まれているのは、Notionに関するものである。おそらく、私の周り以上にGoogle検索から入ってきてくれる人がいるのだと思う。私はいまだに研究というよりも薬の管理や睡眠記録に至るまで生活の全てをNotionに放り込んで管理しているが、最近高機能化の宿命であるところの重さを感じることが多くなってきた。
メモアプリのくせにメモを書くのに重さを感じる、というと、最近離脱者が爆増しているEvernoteを思い浮かべてしまって悲しい気持ちになるのだが、Notionの場合データベースが重いと感じる場合は表示方法を改善する、例えばプロパティの表示を減らす、といったことをすればいいし、まあ色々と解消の仕方は存在している。
しかしやはりWebサービスである以上、多少の重さは気になるようになってきてしまったので、メモの下書きに別アプリを使うようになった。Bearである。
下書きアプリに求めるもの
Notionでいちばん気に入っているところのひとつが、ツールバーが存在せず、まっさらなところに書けるくせに高機能、というところがある。あと文字が可愛い。
Google DocsやWordは文献引用のプラグイン(Paperpile連携)が充実しているため、清書の際には使わざるを得ないのだが、あのようなサービスはツールバーがごちゃごちゃしていて気が散る。
Notionに対して下書きするのであれば、同じようにすっきりとしていて、モダンなものが欲しい。プラスしてMarkdownが使えるとなお良い。
ここまで行くと単にMarkdownをかければいい、例えば、Typoraのようなエディタを使えばいいじゃないか、と思われる読者諸氏もいらっしゃることかと思うが、そういうことではない。私がメモアプリに求めているのはそのアプリの中で完結するシステム、つまりパソコンのあちこちを探さなくてもそのアプリの中にメモが存在しているというシステムなのである。まあApple Notesのようなものでもいいのだが、Markdonが使える上で可愛いという点でBearに軍配が上がった。
可愛いBear
bearとは、Apple エコシステムに特化したメモアプリである。というわけでMac版がある。iPadでも使えるようである。オフラインで書けるMarkdownの現行メモアプリの中ではダントツに可愛い。

可愛すぎてアプリを起動した後の初めてのメモの案内ページをいまだに保存している。くまさんがいるのである。あまりにも可愛い。
また、メモアプリとしての機能は十全に整っている。
使い方
メモを書く
いまだに全ての情報はNotionに貯めるという使い方をしているので、Bearが登場してくる場面はそれほど多くない。しかしながら、こと、書くぞ!という時にはかなり役に立つ。
例えば、ここ数日読むことばかりで思考が整理されていないぞ、というときに、Bearを起動して無心でメモ書きをする。Notionだと他のページが気になるが、Bearにはほとんどメモを残していないので、書くことに専念することができる。この際、覚えていない情報はNotionを参照してコピペする。
書き切って残しておくべきメモができたら、Notionにコピペしてアーカイブする。Notionの良くないところはメモアプリでというよりもデータベースが強いためにデフォルトでアーカイブ機能が備わっていないところであるが、Bearの場合はアーカイブはアプリ側の機能として提供されているので、これをやるとBear内の検索時にも検索対象から勝手に弾くことができて便利である。
コピペする際には、Markdown形式でのエクスポートを活用する。NotionはMakdownに対応しているので、Markdownでペーストすることで、メモ時の構成をそのままNotionのページに反映させることができる。ただし、Notionの見出し機能は見出しが3か4くらいまでしかサポートされていないので、それ以上階層を深くするとNotion側には反映されない。後ハイライト(== ==のように囲む)も機能しないので要注意。
同期もできる
最初に紹介した際に、Appleエコシステムに特化していると示したが、これは同期機能にも見られている。基本的にメモはローカルに保存されるが、有料課金をすると、iCloudを介してスマホ(iPhone)とパソコン(Mac)でメモを共有することができるのである。私は去年からAndroidにしてしまったし、オンライン保存はNotionに投げているのに同期機能のためにわざわざ課金するのも馬鹿らしいので使用していないが、この機能は結構iPhoneユーザーにはウケているようである。
Notionへの不満点
今でもNotionは素晴らしいアプリだと思っているし、私のデータベースには現在進行形で使われているメモが500以上溜まっており、これがないと研究がやっていけない状況に追い込まれていると言っても過言ではないのだが、やはり書くことを別アプリに投げないと不満が溜まるという構造は非常によろしくないと思う、という不満が残る。
Evernoteは正直なところ世代ではないので、ユーザーの方々の最近の苦しみを理解することはできていないのだが、近い将来Notionも同じ道を辿るのではないかと心配である。特に最近関数機能を強化したりと、メモというより本当にワークスペースとしての機能を強化する方向に向かってきており、全ての根幹である書いてまとめるという行為が難しくなるような方向性に開発がいかないといいなと切実に願っている。
総合法政の紹介記事を友人が書いてくれました
初めてデータを触る3年前の(政治学徒の)私へ
はじめに
以下の土井先生のツイートをお見かけして書くことにしたふんわり記事です。
ありがとうございます〜。でも授業をするのは仕事なので、お礼には及びません。
— 土井翔平 (Shohei Doi) (@sdoi0504) May 20, 2024
大事な点ですが説明を忘れていました。一般的に、データには「トリセツ」にあたるCodebookというものがあり...
続き→https://t.co/5sAa1swL5u#マシュマロを投げ合おう
学部三年生の頃、初めて自分からデータに触れたのは、駒場のデータ分析の授業でV-demやUCPDだったような気がします。当時もう少し色々と知っていればできたこともあるなあと思うので、当時の私に現在の技術(Chat-gptとか)を使ってどうやって勉強するようアドバイスをするかを考えながら書こうと思います。
以上の目的なので、正確性は若干脇においていますし、内容にも偏りがあると思います。
対象者は学部生で授業で出てきたデータに触ってみっかーと思っている人です。
データを探す
まずはどのようなデータがあるのかを知るところから始めなければなりません。データにはいろいろな種類があり、ざっくりいうと
- 個人単位の世論調査系、選挙データ
- 各国毎のマクロデータがまとまったもの
- V-demとかはここ?
- 他の諸々の機関やアクター単位の情報がまとまったもの
- 議会データ、政党データ、国際機関系のデータetc
まあ大体こんなもんなのではないかと思います。最近はこんなまとめサイトもあるようで便利ですね。
特にV-dem等のマクロデータや世論調査系のデータはおそらく?学部の講義でもちらほら出てくると思うので、出典に書かれているデータの名前でググってみましょう。Portalサイトが出てくると思います。
データに触れる
大規模なPortalサイトがある場合、データに触れるのは簡単な場合が多いです。というのも、簡単な図表であればお手軽出力できるような機能が備わっていることが多いからです。例えば、OECDのいろいろな統計データももし触れたことがある人がいればわかるかもしれませんが、失業率等諸々の指標の時系列グラフが簡単に出せるようになっています。
より細かいデータについて、例えばヨーロッパの大規模な世論調査である、European Social Surveyは以下のPortalサイトで各項目の結果を出力できるようになっています。
これは検索窓に”age"と入れて出てきたうちの一つの項目をポチっとクリックした結果出てきた図です。まあ簡単。

ある程度のことであればこのようにPortalサイトから図表を作成することが可能なので、初めてデータに触れるぜ!という人はデータのダウンロード先を探すよりもこのような機能を使った方が色々と探索的にみることができると思います。
データの中身を知る
土井先生のTweet(意地でもTweetという言葉を使い続けます)で触れられていたのはここだと思いますが、どのようにそのデータが作成されたのかはおおよその場合公開されています。公開のされ方は大体3種類あって、
- 簡単なSummary
- 変数の作り方を説明した変数表(コードブック)
- データ構築の"Method"に着目したもの
この3種類、特に初めて触る場合は1と2に着目してみると良いと思います。
1番目のSummaryは報告書(report)の形になっているものもあれば、たまにコードブックの後ろにひっそりと存在しているものもありますが、自分でデータの中身を知ることなくおおよその傾向や重要な変数を知ることができて大変便利です。
2番目のコードブックは変数の作り方や、データの中での変数の呼び方がまとまっているものです。長いものだと数百ページになります。
生データに触れる際には、みたいデータがどのような変数名で振られているか、そしてそこでのコーディング規則はどのようなものなのかを知る必要があります。年齢のような簡単なものであれば、変数名"age"で大体実際の調査対象者の年齢と異常値がコーディングされているだけですが、例えば教育水準となってくると、変数名"ed〇〇", コーディング規則も1. 初等教育、2.中等教育、のようにカテゴリカルなものになることもあります。
もし上に述べたデータセット側が何らかの描写のサービスをサイト上で提供していたとしても、一回は自分でコードブックを開いてみることをお勧めします。私は駒場の授業の課題を解くときに"〇〇1"と"〇〇2"という若干しか規則が変わらない変数のどっちを使うべきかで数時間を溶かしたいい思い出があります。
データを自分で描画する
「データに触れる」の節で述べたように、大規模なデータセットの場合描写サービスが設けられていたりしますが、自分で図を書いた方が楽しいので、試してみることをお勧めします。おそらく以下の手順を踏むと良いです。
1. Rのコードを調べる
簡単なところだと以下のサイトの「可視化」の節が参考になると思いますが、一度教科書やサイト等で調べてRを用いていい感じに散布図とかを作ると良いと思います。
コードブックを眺めた時に知った変数名を用いた上で、その変数がどのような特徴を有しているのかを確認するのが目的です。あと単純に図表を作れるとHappyになれます。
2. Chat-gptに質問する
もし何かうまくいかない(エラーが出る、思っていた図にならない)場合には、chat-gptに聞いていましょう。大体「〇〇という変数(必要があればcodebookのテキストをコピペ)を用いて〇〇図をRで書こうとしています。以下のようなコードを用いたところエラーが出ました。対処法を教えてください」のように書くと大体教えてくれます。一回だと意図が伝わらないこともありますが、3往復くらいすれば十分な成果が得られると思います。
応用編:分析する
せっかくですから探したデータを使って分析をしてみましょう。よく言われる話に簡単な回帰分析をしてみるというのもありますし、最初に触れる際には有効だと思いますが、お勧めは(当時やったことはありませんが)そのデータを使っている論文を探してreplicationを行うというものです。
以下の記事がreplicationとその手順をある程度詳しく解説していますが、要は
- V-demならV-demを使った論文をGoogle Scholarから探す
- →その論文のwebページに飛ぶ
- →replication dataとコードを入手する
- stataのファイルである.doのものも多いですが、最悪chat-gptにRスクリプトに翻訳させればいいですし、最近はrのコードも多いです。
- Rのコードを実行してみる
- 図ができる→Happy
です。
実際の研究でそのデータが具体的にどのように分析されているのか、コードから眺めてみると楽しくなれるのでお勧めです。わからないコードが出てきたらchat-gptに投げればいいのでそんなに困ることもありません。
おわりに
今回は学部生で初めてデータに触れる人がどのように触れていくべきなのかをまとめました。参考になれば幸いです。おしまい。