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毎週research groupがある暮らし

はじめに

今回は、4月終わりから始めている同期との毎週のresearch (writing) groupが自分の生活にどのように影響しているのかをまとめてみようという記事です。

私は4月から週に1回学部の時のサークル同期(彼女も院進した、ブログも書いています:Noko120’s diary)とresearch groupを行っています。専門が異なる人と毎週研究報告をしあったり悩みを相談しあったりする機会は非常にありがたいもので、自分の大学院での生活に研究的な意味でも人との会話という意味でも良い影響がみられているなと思っています。

今回は以前に増して主として自分で振り返る機会を作ろうという趣旨で書いていますが、どこか参考になるところもあると思うのでブログの形で残すことにしました。気になった人は最後まで読んでいただいて、何かアドバイス等いただけると嬉しいです。

開催形態

この節では実際行っているresearch groupについて、どのようなことに気をつけて開催しているのか、形式的な開催形態を簡単にまとめます。

週に1回必ずオンラインで報告会をする

まず、第一に気をつけているのは、予定が合えば必ず週に1回オンラインで会を設けるということです。結構1週間というスパンは短いのですが、大学院の授業を受けていれば、必ずいくつかの授業でインプットする機会があり、加えて自分の研究時間も数時間は取れているはずなので、話すことはあります。

Zoomで繋いで、夜の1~2時間くらい、気が済むまでゆっくり自分たちの最近の研究や、研究にまつわる考えていることを喋り続けているように思います(夜寝るのが遅くなって翌日眠かったこともあるのはご愛嬌)。

何かしら報告できるものを共有する

次に、毎回の報告の機会では、そのために作ったものでなくてもいいので、必ず何か報告できるものを共有するようにしています。

Zoomで行っているので、簡単に画面共有をすることができるため、何か研究報告等のための準備が進んでいるときはその資料を共有したり、ネタ出しの段階であれば、簡単なメモを10分程度でまとめて共有するようにしています。

必ず共有するものがあるので、それを使って実質的にラフな研究報告を毎週することになっているようなものです。

専門が異なる人と報告し合う

私は政治学、特にComparative Politicsという形で国内政治をを専門にしているのですが、一緒に参加してくれている同期は、美術史・安全保障と専門が異なっています。

これは自分の専攻に同期がほとんどいない(私含めて政治コースは6人)というのもありますが、どうせ専門が近い人とは研究室等でも会話できる可能性が高いので(とはいえそんなに会うことはありませんが)、せっかくなら専門が違う人と研究を共有する機会を持った方が良いのではないかという私の考えもあります。

なぜ始めたのか、どんな効果があるのか

以上のように毎週報告し合うresearch groupを開催しているわけですが、正直夜眠くなりがちということ以外、全くデメリットを感じず、むしろメリットしかないなと思っているので、以下なぜやろうと思ったのか、どのような効果があったのかをまとめていこうと思います。

なぜ?:論文生産術で読んだから

このようなresearch groupをやろうと思ったきっかけは、以下の本の内容が頭にこびりついていたからです。

この本は基本的に論文を書くのであれば習慣化してつべこべ言わずに作業する時間を取ること、そのためにはwriting groupが効果的であることを謳っています。

私はもともと高校時代から、勉強にまつわる習慣化をすること、例えば手帳で勉強したことを記録し続ける、勉強を始める時間を固定してルーティン化する等が大好きで、結局努力をしていると思わずに効果が出る習慣化は神であるという信仰を持っているので、この本の内容はかなり頭にハマるものがありました。

メモの取り方を勉強・研究用にアレンジしたNotion-Paperpile活用法も習慣化は神、そのためにシステムを形成すべし、ということで形成しました。ちなみに今も続けています(参考は以下記事)。

onakasuita-bot.hatenablog.com

というわけで、writing groupは大変だけれども、自分が研究している内容を他の人に喋り・そのために何か共有素材を作るという形でoutputを継続的にしていくことが良いのではないかと思い、同じく院進したサークル同期に声をかけて始めることにしました。

以下では自分で思うresearch groupの効果をまとめていきます

効果①:自分のinputをまとめる(outputの元を作る)時間が取れる

output「しなければならない」機会が必ず7日ごとにやってくるという環境は、自分が溜め込んだ知識を一旦形にする機会を自動的に与えてくれます。7日だと結構早いなと思いますが、上に示したように特にゼミに何個か参加している学期の間は、毎日新しい考え事、新しく読んだりdiscussionした論文があるはずです。

読んだもの・ゼミで人と話して考えたことをまとめる際には、このresearch groupでは毎週「人に説明する」という形が尺挟まるので、読んだものをただ羅列するのでなく人に説明するための自分で考えた枠組みに沿ってまとめることになります。説明の枠を自分で作るわけですから、結局のところ自分の研究の進捗を産んでいることになる、という感じです。

この作業毎週続けていたら、気づいたら一本研究レジュメが出来上がっていた、なんてこともありました。

効果②:人にアイデアを共有する機会が持てる

研究のネタになるようなアイデアが浮かんだとしても、それを人に話さないと自分でそれがどれほど魅力的だと思っているかもわからないし、どれほど可能性があるのかもわからないものです。

毎週会があることによって、最近気になっていることをぽろっと共有するハードルがかなり下がっています。頻繁には会わない人と会話する時に自分の関心を言語化したくなくて萎縮する癖があります。なぜかというと、「最近〇〇について考えています」というと、「こいつ(私)は〇〇の人なんだな」という認識を持たれるのではないかと思ってしまいうつろう未来の関心に対する責任を持ちたくないと考えてしまうからです。これ自体は早急に直さなければならないのですが、少なくとも、話す機会が多いということはそれだけ考えている経過を曝け出すことのハードルを下げてくれるのでとりあえず思いついたことをぽろっと話せて非常に個人的にはありがたいです。

効果③:専門が異なる人と会話するということ

専門が異なる人と会話する(専門が異なる人に報告する)ということは、自分の領域についてあまり知識がない人に説明する練習になります。例えば(私は今回落ちてしまいましたが)、諸々の金銭的支援の応募の際には自分とはある程度専門性的に距離のある人に研究の内容・意義について説明する必要があります。この際、事前に専門が異なる人に忌憚ない意見をもらえたり、その人向けに報告する機会を多く持つことは、直接的にも間接的にも良いです。

間接的にも、といったのには理由があり、専門が違う人に説明しているうちに、自分が研究をしている際に根源的に関心があるのはどんなことなのかというようなことがぼんやりと言語化できるようになる、といったことがあったからです。

また、自分が自明だと思っていたことについて素朴な疑問が飛んできたりすると、考え直す機会を与えてくれます。ディシプリンによって何かを説明する際に重視する要因は異なるため、それに自覚的になる機会を与えてくれるわけです。

効果④:相手の研究進捗による刺激&良いプレッシャーがある

research groupは毎週2~3人(予定に応じて1人いなかったりする)でやっているので、毎週お互いに報告します。そうすると自分だけではなく相手も毎週研究を進めてくることになるので、それを聞くだけでも(専門が違いすぎてさっぱりわからないこともしばしばですが)刺激をもらえます。

相手が論文の全訳をしていたりスライドを丁寧にまとめていたら、自分もinputの精度を上げる必要があるなと思うし、相手が研究報告をするという報告をしていたら自分も頑張らないといけないなと思えるわけです。

もしこの会をやっていなかったら、自分は結構頑張ってるわあ〜〜と堕落した日々を送っていた可能性は否めないので、刺激を相互に与え合う環境はありがたいです。

効果⑤:ついでに文章も読んでもらえる

いつも報告の際は文章を読んでもらうというよりも、完成版にしろ、作業途中にしろレジュメやスライドを共有して今週の進捗を報告するということをしているのですが、research groupの延長線でLineで文章を投げつけて感想をもらうということをしています。

自分のペイパー・申請書等を見てもらったり、相手の申請書?的なものを読んだりとすることで、自分の文章やまとめ方が専門外の人から見てわかりやすいのか等感想をもらえる機会は貴重です。

副産物:雑談もできる

これは実はかなり大きい効果で、研究科の外の人と毎週意識せずとも雑談ができるというのはかなり私の精神的に健全な生活を支えています。

もともと、会話がしたいという意識で主催したわけではないのですが、報告のついでに近況を共有できてのんびり会話が続く環境を毎週とれることになりますね。

今後心がけていきたいこと 

というわけで色々と効果があるなと思えるresearch groupな訳ですが、今も継続しているので、ついでに今後気を付けていきたいこと、心がけていきたいことをまとめようと思います。

マンネリ化させない

長く続けているとおそらく必ず問題になると思いますが、マンネリ化させないように頑張っていこうと思います。ありがたいなあと思いつつズボラすぎて毎週開始時刻を忘れていたり、なんならその理由が今日であったことをメモしていないから頭から抜けてる、みたいなことをしているので、もう少し真面目に予定表に記録しておこうと思いました。

また、研究に関連した事項をoutputする機会のために時間を作っているのに、outputしないでただ喋る時間になったら元も子もないので、しっかり研究のoutputの時間にするということを継続していこうと思います(このブログは個人的にはそれを再確認するためのものでもあります)。

Outputはペイパーにまでまとめる

夏休みはプライベートな予定とかがあったので頻繁には集れていませんでしたが、会を始めてから期間的にはもう半年以上立ったので、そろそろoutputをペイパーの形にまで仕上げていくという癖をつけたいなと思っています。

10月に初めて研究報告を学外でするという機会をいただけたので、スライドを作る(そのために自分のためにまとめたペイパーを書く)ということをしたのですが、結局のところ、最終的には人様に読んでもらえるクオリティのものを作らないといけないわけです。ですから毎週コツコツ喋ってレジュメ等の形でoutputするだけでなく、もう少し腰を据えてペイパーを仕上げるということを修論に向けて続けていきたいなと思っています。

というわけで決意表明です:ペイパー書いたうちの一部を毎週共有するという形だったり、レジュメを共有した翌週までには一部は文字化するというような、文章を書くという癖をつけます。

おわりに - 色々なところでoutputの機会を作る

今回はoutputのためのresearch groupを毎週しているという話をまとめてみました。院生になると、人と会話する機会が意識しないと減るか研究が似ている人との間に固定化されます。そんな中research groupという形で異種の研究をしている人と研究報告・会話をする機会はとても貴重で、同期には本当に感謝しています、いつもありがとう(毎週時間を忘れまくってごめん)

また、同じ研究科の先輩方との研究の進捗報告会に月2回参加したり、同じコースの学期に1回程度進捗報告したり、授業を受けていた先生に誘われて月1の自主ゼミ(というなの研究報告会)に参加したりと、色々なところで人の研究を聞いたり自分でoutputする機会を持ったりできているのは環境に恵まれておりありがたいなあとしみじみ感じています。これからもよろしくお願いします。

東大の文系の研究科横断した同期のSlackコミュニティを主催もしているのですが、最近沈黙が続いていて悲しく、たまにはそのコミュニティくらいの大きい規模で研究報告会もやってみたいので、この記事を見た同期の方は需要があれば私に開催するよう催促してください。